【SS】善子「どこにでもいて、どこにもいない」

「一人くらい、学校に行きたくない人のためのスクールアイドルがいても良いじゃないですか」

ある日、ダイヤの『相談してね☆BOX』に堕天使ヨハネからの投書があった。それは「偶像を領布し、神と等しい存在になる為にスクールアイドル部を設立したい」というもので……というところから始まるシュールなコメディかと思って呼んでると最後にホロリと泣かされるハートフルストーリーです。
作品としては、独特な会話のテンポ、丁寧に練られたストーリー運び、そして、読む前と読んだ後では意味が変わって見えるタイトル「どこにでもいて、どこにもいない」などなど、どの要素も超ハイレベルで描かれています。
作者はラブライブ!SS界の中の異端児、【ドイツ】と呼ばれていた方です、おそらく。(タグ付けがされていないので別の方かもしれませんが)

作品の内容としては、善子がいかに「善い子」であるのかを丁寧に描かれていて、頑固で不器用な、けれど温かみに溢れる人間性が伝わる一作です。
終盤でダイヤに放った「私、輝きたくないんです」の一言は、それまでを読んでからたどり着くと、「あぁ、善子なら本当にこう考えるだろうな」と思わせられ、またその不器用な優しさが垣間見えて心が動かされます。
原作ではあまりフューチャーされなかった善子の引きこもり気質が、こういった形で素晴らしい作品になるのかと、初めて読んだ時は驚きと感動が止まりませんでした。
「超大作!」ではありませんが、何度も何度も読み返したくなる絵本のような優しくてあたたかいお話です。